悪人

悪人

吉田修一

出版社:朝日新聞出版 出版年月日:2007/04/01

朝日新聞出版 | 2007/04/01

4.00
本棚登録:1人

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感想

九州北部の三瀬峠で絞殺され遺棄された若い女性の死体が見つかった。 彼女は福岡市内で働く保険外交員、石橋佳乃。 誰が石橋佳乃を殺害したのか? 物語は佳乃の同僚や佳乃の父親、そして犯人と思われる男やその男の 家族、友人、知人など被害者、加害者をとりまく人間達の証言を 元に構成されていく。 一人の人間を一方向からだけでなく多方面から見るといろんな顔が あるものなのだということに改めて気づかされる。 犯人の男も全てが悪人であるわけではないのだ。 被害者の佳乃の性格は読んでいたらあまり好ましいとは言えない位で 幼い頃から祖父母に育てられた生い立ちや彼の性格が明らかになるにつれ どちらかというと犯人側に同情してしまいそうになるぐらいだ。 でもだからと言って彼女は殺されても当然なほどの悪人だったのか?と 問われると決してそんな事はないのだ。 被害者の父の無念や怒りは当然で、被害者、加害者、どちらにも 気持ちが揺さぶられる。 もう、他になかったのか!!! 何か方法が見つからなかったのか!!! それしか言えない空しさを感じる作品だった。 歯車が少し違えば幸せにもなりえた人物たちなのに。 不幸のオーラを拭い去る元気さや明るさって必要なのだよ、きっと。 とりあえず増尾にはどこかで挫折して欲しいと思ったのは 私だけではないと思うんだけれど、どうでしょう? 読後感に哀しいものが漂うけれどこれは結構お勧めの1冊です。

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