雄一の本棚
マスカレード・ゲーム

マスカレード・ゲーム

東野 圭吾 集英社 2025年3月19日

東野圭吾の『マスカレード・ゲーム』を読み終えました。シリーズ作品ということで、事前に評判をいくつか確認してから手に取ったのですが、期待を大きく上回る傑作でした。 本書の魅力は、単なるミステリの謎解きに留まりません。解決の糸口すらつかめない三つの殺人事件という設定から始まり、その背景にある被害者たちの「過去」が徐々に明かされていく構成が見事です。犯人の動機が単純な復讐ではなく、より深い人間的葛藤に根ざしていることに気づかされます。 新田浩介という主人公が警部へと昇進し、複雑な思いを抱えながら潜入捜査に臨むという設定も秀逸。彼の心理描写を通じて、正義とは何か、復讐とは何かという根本的な問いが投げかけられています。 この年代になると、単なる娯楽としてのミステリではなく、人間の本質に迫る物語を求めるようになります。本書はそうした要望に応えてくれる、思慮深さと面白さを兼ね備えた作品だと感じました。東野圭吾の筆力の確かさを改めて認識させられた一冊です。