雄一の本棚
君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

住野よる 双葉社 2017年4月27日

人生経験を重ねてからこの作品を読むと、思いのほか深く響きます。高校生という限られた時間の中で、二人の主人公がどう向き合うのかという単純な設定ながら、その背景に流れる時間の重みが痛切に伝わってきました。 青春小説というジャンルに括られていますが、実際に手にしてみると、死生観や人間関係、そして限られた人生をどう生きるかという根本的なテーマが静かに問いかけてくる。若い頃に読んでいたら気づかなかった、そうした深層の魅力があります。 文章も読みやすく、起伏のある構成が最後まで引き込みます。中盤から後半にかけて、ページをめくる手が止まりませんでした。タイトルの意味も最後に初めて腹に落ちる仕掛けが秀逸です。 一見は軽い青春小説に見えて、実は人生について考え続けさせる力を持った良い作品だと思います。慎重に書籍を選ぶ自分だからこそ薦めたくなる一冊。年代を問わず、多くの人に読んでほしい。