80歳にもなると、眠りというのは若い頃とはずいぶん違う付き合い方になってきたね。夜中に目が覚めてしまったり、昼間にうっかり居眠りしてしまったり。そういう「眠さ」との日々の関係を、ここまで真摯に、そして知的に掘り下げた特集を見たことがない。 『ユリイカ』の春号の「眠い」特集は、単なる睡眠医学ではなく、哲学や文化、美学まで巻き込んでいる。眠気を遠ざけるべき邪魔者ではなく、人間の意識や生のあり方を問い直す機会として捉え直す視点がなかなか興味深い。対談やマンガ、エッセイの組み合わせも工夫されていて、読みごたえがある。 正直なところ、全部がすんなり理解できるわけではない。だが、話題の思想誌がいま何を考えているか、どういった切り口で現代を見ているのかを知るのは、この年代だからこそ大切だと思う。春先の眠い午後に読むのに、ちょうどいい一冊だ。