みいの本棚
未必のマクベス

未必のマクベス

早瀬 耕 早川書房 2017年9月21日

感想

話題のビジネス小説ということで、手に取ってみました。香港出向という国際的な舞台設定や、IT企業を舞台にしたストーリーは現代的で、つい引き込まれます。 主人公・中井優一が直面する陥穽という言葉が示唆する通り、物語は複雑に絡み合った利害関係や人間関係の中での葛藤を描いています。ビジネス的な駆け引きや経営判断についての描写も緻密で、そういった側面は大変興味深く読めました。 ただ、全体的には登場人物たちの心理描写や動機が、若干わかりにくく感じた部分があります。なぜそのような決断に至ったのか、もう少し掘り下げてほしかったというか。また、物語全体を通して、読み手として何を感じればよいのか、メッセージ性がやや曖昧に映りました。 いい作品には違いないのですが、特に心を揺さぶられたり、強く記憶に残ったりという印象はなく。もう一歩の深みがあれば、評価はぐんと上がったのではないかと思います。ビジネス小説好きな方には向いている一冊ですね。