感想
「ツバキ文具店」シリーズの最新作ということで、前作から続く世界にまた戻ってこられるのが嬉しくて手に取りました。 鳩子が家事と育児で忙しい中、代書屋を再開するという設定だけで既に共感。私たちの世代って、やりたいことと現実のバランスを取るのに必死ですよね。その葛藤を丁寧に描きながら、依頼人たちの人生に向き合う場面の温かさといったら。余命わずかな母が娘へ綴る想い、認知症の自分へ向けた手紙など、どれも胸が締め付けられるほど大切な内容です。 驚いたのは、こういった深刻なテーマばかりなのに、全体としては決して暗くならないこと。代書屋という仕事を通じて人々の人生に寄り添う姿勢が、読者の心もそっと支えてくれます。そして先代が遺した恋文という謎も絶妙。人生のあらゆる段階にある女性にとって、きっと共感できる何かがある本だと思います。話題になるのも納得の一冊です。