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東京大空襲

東京大空襲

早乙女 勝元 岩波書店 1971年1月28日

岩波新書の本書を手に取ったのは、戦後日本を理解するうえで避けては通れない重要な歴史事象だからです。しかし読み進めるにつれ、やや物足りなさを感じずにはいられませんでした。 東京大空襲という限定的なテーマを扱いながらも、全体的な構成がやや散漫で、著者の主張や視点が今ひとつ鮮明に浮かび上がってこないのです。新書という限られた紙幅だからやむを得ない面もありますが、重要な歴史的事実だからこそ、より説得力のある論証と明確な切り口を期待していました。 資料的価値は認めますが、既に関連書籍で同種の情報を得ている読み手には、特に新しい視点や深い洞察が乏しく感じられるでしょう。むしろ初学者向けの入門書としての位置づけなら及第点ですが、精密さを求める読者には別の著作を検討する価値があると考えます。戦後史への問い直しを期待する私にとって、本書はやや通過点に留まった感があります。