正直なところ、このシリーズは我が年代にはやや付け焼き刃の感が拭えません。ライトノベルの定番たる異世界冒険譚として一定の完成度はありますが、物語の深みに欠けるのが何とも。 キリトという主人公は確かに魅力的な設定ですが、彼を取り巻く人物関係や葛藤の描き方が表層的です。デスゲームという極限の状況設定の割に、人間関係の緊張感や倫理的問題掘り下げが浅い。自営業で人生経験を積んできた身からすると、もっと複雑な心理描写や社会的矛盾への言及があってもよろしいかと。 各エピソードは確かに感情を揺さぶろうとしていますが、どうしても記号的というか、少年少女向けの単純化された感動の構図に見えてしまいます。時間のある時の軽い読み物としてはそれなりですが、評価の高い人文書を読み慣れた身には物足りない一冊です。 ただし、ゲーム世界の構築やアクションシーンの迫力は認めるところ。若い世代なら十分楽しめるのではないでしょうか。