この作品は、思ったより味わい深い小説でした。36歳でコンビニ店員として生きる女性の日常を通じて、「普通」「幸せ」とは何かを問いかけています。 最初は、ちょっと変わった主人公だなと感じていましたが、読み進むうちに、彼女の生き方に不思議と共感できるようになります。コンビニという限定された空間で、きちんと自分の役割を果たし、そこに充足感を見出す姿勢は、実は誰もが持つべき大切な視点かもしれません。 この本が世界中で翻訳されているというのも納得します。現代社会が押し付ける「普通」への違和感を、ユーモアを交えながら描いているからでしょう。私たち高齢者にとっても、世間体や「こうあるべき」という固定観念に縛られすぎていないか、改めて問い直す良い機会になりました。 レビューを参考に恐る恐る手に取った作品でしたが、この選択は正解でした。軽やかな文体で読みやすく、でいてしっかりした思想が込められている。文庫版で手頃な価格というのも良いですね。世代を問わず、多くの方に読んでいただきたい一冊です。
最近登録された他の本の感想
2026年06月25日
文庫本棚でこの本を見つけたときは、タイトルの不思議さに思わず手に取ってしまいました。夜空にチョコレートグラミー?何のことやら…と首をかしげながらも、選考委員に絶賛されたというR-18文学賞大賞受賞作との言葉に惹かれて購入を決めました。 読み始めてすぐに、この著者の筆致の柔らかさに心を掴まれました。思いがけない再会から始まる恋の話、そして叶わぬ想い…どれもが切実で、それでいて優しく描かれています。舞台となる小さな街での少年少女の成長も、瑞々しさに満ちていて、当たり前のことをただ当たり前に懸命に生きることの素晴らしさが伝わってくるようです。 短編集ということもあり、一つ一つの話が適度な深さで、無理なく読み進められました。人生の様々な局面で、どんな場所でも前へ進もうとする人々の姿。その強さとしなやかさが、静かに心に沁み込んできます。若い時に読む喜びもありましょうが、人生経験を重ねた今だからこそ、何度も頷きながら読めた気がします。丁寧に、確かな言葉で紡がれた素敵な一冊です。
2026年06月22日
テレビで話題になっているのを見かけて、少し警戒しながら手に取った一冊です。殺し屋という物騒なテーマで、最初は躊躇いもありましたが、江戸川乱歩賞受賞作と知り、また多くの著名な作家さんが推薦されていたので、思い切って読んでみました。 正直なところ、予想をいい意味で裏切られました。タイトルの生々しさに反して、この本は人間関係や仕事の本質、人生の選択について深く考えさせる作品なのです。主人公が「営業術」という日常的なテーマを通じて、自分の在り方や周囲との関係性にどう向き合うのか、その過程がとても丁寧に描かれています。 ページをめくる手が止まりませんでした。ボランティア活動をしていると、人間関係の難しさや複雑さをよく感じますが、この物語はそうした現実の一面を映し出しているような気がします。読み進めるごとに、主人公が何かに気づき、変わっていく様が自然で、説得力がありました。 これまでのミステリーや冒険小説とは違う、心理的な深さがあります。ご年配の方にも、若い世代にも読んでいただきたい、バランスの取れた素敵な作品だと感じます。
2026年06月15日
孫たちから「おばあちゃん、プリンのキャラ知ってる?」と聞かれたことがきっかけで、このアートブックを手に取りました。正直なところ、若い世代向けのキャラクターだろうと思っていたのですが、開いてみると素敵な驚きに満ちていました。 1996年の手描き原画から現在までの三十年の歩みが丁寧に収められていて、それぞれの時代の空気感が感じられるんです。懐かしいグッズの写真を眺めていると、ポムポムプリンというキャラクターがどれほど多くの人に愛され続けてきたかが伝わってきます。新作の漫画も楽しく、ほっこりとした気持ちになりました。 装丁も上品で、本棚に置いておいても素敵です。何より、異なる世代の家族で同じものを楽しめるという点が良いですね。細かいディテールまで丁寧に作られているので、パラパラとめくるだけでも時間を忘れてしまいます。孫たちとも一緒に眺めて、話が弾みました。大切に保管したい一冊です。
2026年06月13日
孫に勧められて読んでみました。最初は推理小説は難しいかと思いましたが、この作品はそんな心配を吹き飛ばしてくれました。 何といっても、この物語の面白さは「なぜ人は人を殺すのか」という根本的な問いかけにあります。逮捕された犯人が動機を語らないという設定が、読み手の想像力をかき立てるのです。私も読みながら、何度も「なぜだろう」と考えずにはいられませんでした。 東野さんの筆力には本当に感心します。丁寧な描写と緻密なストーリー構成で、知らず知らずのうちに物語の世界に引き込まれていきます。登場人物たちの背景や心理描写も細やかで、単なる謎解きではなく、人間関係の複雑さも感じることができました。 少し長めですが、ページをめくる手が止まりませんでした。ボランティア仲間にも貸してあげたいと思います。人生経験を重ねた大人だからこそ、この物語の深さを味わえるのかもしれませんね。慎重に本を選ぶ方にも、自信を持ってお勧めできる一冊です。
2026年06月12日
孫たちと一緒に旅に出かけることが増えたこの頃、どこへ行こうか迷うことが多くなっていました。そんな時に手に取ったこの本は、本当に予想外の素晴らしさでした。 単なる観光地案内ではなく、各地の「人生が変わる体験」を丁寧に紹介している点が何より良いのです。高野山や比叡山といった伝統的な聖地から、最近話題のサウナまで、思いがけない発見がたくさん。特に富山の蒼く光る海での体験や、佐賀のサウン文化など、今まで目を向けたことのない場所の魅力が伝わってきました。 ビジュアルも美しく、文章も分かりやすいので、ゆっくり読み進められます。一泊という限られた時間だからこそ、深く体験できることがあるというコンセプトにも共感しました。これからの旅の参考に、何度も開く一冊になりそうです。孫たちにも見せてあげたくなりました。
2026年06月12日
ボランティアの仕事をしていると、様々な方との出会いを通じて人生について考えさせられることが多いのですが、この本はそうした思いをそっと後押ししてくれるような一冊でした。 瀬戸内の島のホスピスを舞台にした物語なのですが、決して重くはありません。むしろ、主人公が「本当に食べたいおやつは何か」という素朴な問いと向き合う過程を通じて、私たちが毎日をどう過ごすかということの大切さが静かに胸に届きます。 文庫本で読みやすく、ページをめくるたびに瀬戸内の景色が目に浮かぶようです。登場人物たちの会話も自然で、人生の終わり方について考えるというテーマながら、読んだあとには温かい気持ちが残ります。 慎重に本を選ぶ方ですが、この本は本屋大賞の受賞作品であること、そして何より読み終わった今、年を重ねた者として多くの人に手にとってもらいたいと心から思います。人生の大切なことを教えてくれる、本当に素敵な作品です。
2026年06月12日
ボランティアの仕事をしていると、様々な世代の方と接する機会があります。その中で、歴史観の違いや世界情勢についての問い方を受けることが増えました。そんな折、このような本があることを知り、興味を持って手に取りました。 本書は、学校の教科書では習わない視点から世界史を読み直す試みです。年を重ねて、自分たちが学んだ歴史にも、意図的に省かれた部分があったのだと気づかされることは、正直なところ複雑な感情を引き起こします。しかし、だからこそ読む価値があると感じました。 著者は、なぜ現在の紛争が続くのか、なぜ独裁体制が支持されるのかといった、今日のニュースの根底にある歴史的背景を丁寧に解説しています。筆者の論理は分かりやすく、慎重に裏付けされているようで、信頼感を持って読むことができました。 自分たちの世代が当たり前だと思っていたことを問い直す、そうした慎重さが、現代を理解するために必要なのだと改めて認識させられた一冊です。若い世代にぜひ読んでほしいと思います。
2026年06月12日
テレビで野々村さんを拝見したことがあるので、どんな本だろうかと興味を持って手にしてみました。 読み進めると、本当に思わず笑ってしまう場面ばかり。家事というのは、やっている本人にしか見えない細かい工夫がたくさんあるのに、それを見落とす(というより存在に気づかない)ご主人との関係が、丁寧に、でも辛口に描かれています。これは私たちの世代の女性なら、誰もが経験してきたことなのではないでしょうか。 何よりよかったのは、著者の文章が実に読みやすく、親しみやすいということです。ユーモアに満ちているのに、決して家事を軽く見ていない。むしろ家事の大切さを、こんなに上手に伝えられるものかと感心してしまいました。随所のイラストも愛らしくて、ほっこりとした気持ちになります。 巻末の対談も楽しい。人生経験を重ねた今だからこそ、こういう本の味わい深さが分かるような気がします。若い嫁さんたちにも、ぜひ読んでもらいたい一冊ですね。
2026年06月11日
箱根駅伝についての本というので、興味深く手に取りました。池井戸潤さんの作品は以前も読んだことがあり、期待を込めて読み始めたのですが、正直なところ可もなく不可もない、という印象に落ち着いてしまいました。 お話の筋立ては分かりやすく、選手たちの苦労や葛藤についても丁寧に描かれています。ただ、私のような年代の読者にとっては、若い世代の激しい競争や心理描写が少し複雑に感じられる部分も。一方で、テレビ局の制作現場のくだりは、メディアの舞台裏が垣間見えて興味深いですね。 上巻ということで、物語がまだ展開途上のせいか、引き込まれるほどの興奮までには至りませんでした。もっともっと深く登場人物に感情移入できれば良かったのでしょうが。下巻を読むべきか、正直迷っています。ドラマ化も決定しているそうですので、本より映像の方がこの物語の良さを引き出すかもしれないな、と感じています。
2026年06月09日
このところ、新聞の書評欄で良い評判を読んでいたので、思い切って手に取ってみました。正直なところ、私の年代が読む本としては少し不安もありましたが、これが素晴らしい。 連続殺人鬼の犯行という物々しいテーマながら、決して読むのが苦しくならないんです。むしろ、事件の謎が少しずつ解き明かされていく過程が、これほどまでに興味深いとは思いませんでした。警察の捜査の流れも丁寧に描かれていて、登場人物たちの行動が無理がなく、自然と物語に引き込まれていきます。 何より、著者の筆力がしっかりしているのが心強い。派手な表現に頼るのではなく、人物の心理や事件の背景を深掘りしていく手法が、年を重ねた読者にも納得できます。最後まで犯人の正体がわからないドキドキ感も、本当に久しぶりに味わいました。 エッセイのような読みやすさと、推理小説としての緻密さが両立した傑作だと思います。同年代の読書仲間にも勧めたいくらいです。
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