研究の合間に、子どもの音楽教育について知見を広げたいと思って手に取りました。正直なところ、期待していた内容とはズレがありました。 本書は100曲の選定と解説が中心なのですが、曲の選択基準が明確でなく、なぜこれらが「定番」なのかという背景説明が薄い。学術的な切り口や、発達段階に応じた選曲の理論的根拠があるかと思いきや、かなり実用的・表面的な内容に留まっています。 また、各曲の解説も短く、歌詞の意味や音楽的な特徴、教育的な効果についての掘り下げが不十分です。保育士や音楽教育の現場で働く人には有用かもしれませんが、もう一段階深い思考を求める読者にとっては物足りない。 子どもの音楽選曲に関する専門的な論考や、より充実した解説を期待していた分、この本の立ち位置の曖昧さが残念です。実用的なリファレンスとしては機能しますが、読む価値を感じるには情報量と深度が足りませんでした。