読書三昧の本棚
コンビニ人間

コンビニ人間

村田 沙耶香 文藝春秋 2018年9月4日

話題になっていたので、やっと読むことができました。率直に言って、この作品は本当に素晴らしい。 36歳でコンビニ店員という設定だけで、世間からどう見られるかが想像できてしまう現代。けれど主人公・恵子の視点から見ると、その人生は決して不幸ではなく、むしろ一種の完結性を持っているんです。私も自営業者として、「普通」とは何かという問題には敏感です。社会的な期待値と自分の人生の満足度のズレって、年を重ねるほど感じるもの。 著者・村田沙耶香さんの筆致は軽やかでありながら深い。コンビニという舞台設定を使いながら、現代社会の息苦しさと、その中での「生きる」ことの本質に迫っています。恵子のキャラクターは一見シンプルですが、読み進めるうちに複雑で奥深い人間像が浮かび上がってくる。 芥川賞受賞作だけあって、文学的な価値も確かです。何より、この本が世界各国で翻訳されているというのが納得できます。普遍的な問題を見つめた傑作だからこそ、国境を越えて読まれるんでしょう。同じ世代の女性にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊です。