読書三昧の本棚
宿命

宿命

東野 圭吾 講談社 1993年7月1日

話題になっていたので手に取ってみました。正直、こういった設定の話は数え切れないほどありますが、この作品は違いました。 初恋の女性を巡る二人の男の人生が、10年という時間を経てどう交差するのか。その過程で明かされる秘密や背景が、とても丁寧に描かれています。読み進めるにつれ、登場人物たちの選択の重さが胸に迫ってくるんです。 自営業をしていると、人間関係の複雑さや、人生の岐路での決断がどれほど大きな意味を持つのか、自分たちの人生と重ねて考えてしまいます。この小説もそういった普遍的な問題に真摯に向き合っている。特に、刑事と容疑者という立場で対峙する二人の心理描写は素晴らしい。 結末については、確かに皮肉で感動的という評判通りです。予想できそうで予想できない、そんなバランスが上手い。人生経験を積んだからこそ、この物語の深さがより一層感じられるのかもしれません。最近の話題作の中では、かなり質の高い一冊だと思いました。