近藤の本棚
アルケミスト 夢を旅した少年

アルケミスト 夢を旅した少年

パウロ・コエーリョ / 山川 紘矢 / 山川 亜希子 KADOKAWA 1997年2月1日

世界的ベストセラーということで、期待値が高い分、最初は「本当にそこまで?」と疑ってかかっていました。でも読み始めたら、その警戒心は徐々に解かれていきました。 少年の冒険譚という単純な枠組みながら、自分の人生設計について考えさせられる深さがある。エンジニアとして問題解決型の思考に慣れた私にとって、この本は「解答のない問い」に向き合うことの大切さを教えてくれた気がします。 特に印象的だったのは、旅の過程で出会う様々な人物たちとの対話。迷いながらも前に進もうとする主人公の姿勢が、年を重ねた今だからこそ響きました。人生100年時代と言われる中で、自分の「宝物」が何かをあらためて問い直すきっかけになる一冊です。 ただし、寓話的な表現が多いため、人によっては「説教臭い」と感じるかもしれません。そのあたりを受け入れられるかどうかが、この本への評価を分ける分水嶺になるのではないでしょうか。大事なのは批評的に読むのではなく、物語に身を委ねることだと思います。