森見登美彦の代表作を愛蔵版で手に取るのは久しぶりでした。エンジニアという職業柄、ロジカルな思考に慣れているせいか、この作品の独特な世界観とストーリー展開には正直なところ戸惑いました。 京都を舞台にした青春の恋愛模様は、それなりに魅力的に描かれています。主人公たちの会話の掛け合いやテンポの良さは確かに秀逸ですし、小説としての完成度は高いと思います。ただ、私個人としては、もう少し地に足のついた物語世界の方が、感情移入できるタイプなのかもしれません。 愛蔵版としての装丁は本当に素晴らしく、金箔押しと函入りの豪華な仕様は、本当に「永久保存版」という謳い文句に相応しい。物理的な価値は十分にあります。ただし、内容面での満足度と装丁の豪華さのギャップを感じてしまい、購入時には慎重な検討をお勧めします。既にファンなら間違いなく手に入れる価値がありますが、初めての方はまず文庫版で試読してみるのも良いかもしれません。