本と珈琲の本棚
ビバリウム Adoと私

ビバリウム Adoと私

Ado / 小松 成美 KADOKAWA 2026年2月26日

# レビュー本文 最近はYouTubeでAdoの歌声をよく耳にしていたが、彼女がどんな人物なのか全く知らなかった。この本を読んで、その素顔に触れることができて良かった。 小松成美の筆運びは相変わらず上手で、Adoの語った言葉を丁寧に物語として組み立てている。クローゼットで一人黙々と歌を作り続けた少女が、どのようにして世界的なアーティストへと成長していったのか。その過程が自然に、そして温かみを持って描かれているのが印象的だ。 不登校の経験、親との関係、音楽との出会い―どれもが本当の意味で「Ado」という存在を作り上げたのだと感じた。人生経験が長い分だけ、こうした若き才能の葛藤や覚悟がより身近に感じられるようになったのかもしれない。 嘱託社員として毎日を淡々と過ごしている自分には、クローゼットから世界へと羽ばたいていく彼女の姿が眩しく映った。若い世代の力強さに励まされるような、そんな読後感を覚えた。気軽に読める好著である。