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WEALTH OF NATIONS,THE:BOOKS I-III(P)

WEALTH OF NATIONS,THE:BOOKS I-III(P)

ADAM SMITH PENGUIN CLASSICS UK 1982年1月1日

感想

経済学史の原典を読むのは骨が折れるものだが、ペンギンクラシックスのこの版は格段に読みやすい。アダム・スミスの『国富論』は何度も手に取っては断念していたが、ようやく腹を決めて向き合う価値があった。 特に印象的なのは、フリーランスとして生業を立てる身からすると、彼が労働分業の効率性と社会全体の繁栄の関係性をどう考えていたかという点だ。古典的とはいえ、個人と市場経済システムの関係についての洞察は今なお新鮮である。フィジオクラートや当時の重商主義への批判的検証も、思想史を学ぶ者にとっては興味深い。 ただし、全編を通してスミスの主張が首尾一貫していることは確かだが、テキストそのものはやはり19世紀の著作であり、すべての読者にとって平易とは言えない。それでも、現代の経済学や資本主義についての議論をより深く理解するためには、この源流へ遡る価値は十分にある。読み応えのある一冊だ。