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Fullmetal Alchemist, Volume 1

Fullmetal Alchemist, Volume 1

Hiromu Arakawa VIZ LLC 2005年1月1日

感想

グラフィックノベルというフォーマットへの期待と、実際の作品のクオリティのギャップが大きかったというのが正直な感想だ。 確かに、異なる世界観と独特の設定——alchemy(錬金術)を軍事利用する世界というコンセプト自体は興味深い。兄弟の悲劇的な過去も、物語の牽引力として機能している。しかし、第1巻を通じて感じるのは、やや表面的な世界構築に留まっているという印象だ。 グラフィックノベルという限定されたページ数の中で、複雑な設定や深い人物描写を詰め込もうとしているものの、どうしても不完全さが目立つ。会話が説明的になり過ぎて、キャラクターの内面が十分に伝わってこない場面が多い。また、ビジュアルの力を活かした表現の工夫も、期待ほどには感じられなかった。 人文系の思想書から漫画作品への移行としては、知的な満足度がやや物足りない。もちろん、シリーズ全体を通して深まる可能性もあるだろうが、第1巻単独の作品として評価すれば、手放しで推奨しづらいというのが率直な評価である。