京極堂シリーズの第1弾ということで、軽い気持ちで手に取ってみました。期待以上に面白かった。 東京・雑司ヶ谷を舞台に、20ヶ月も身籠ったままの娘と、密室から失踪した夫という奇想天外な謎が提示される。一見、オカルトめいた話ですが、著者は「この世には不思議なことなど何もない」と宣言する。その言葉通り、後半へ向けて論理的に事件が解きほぐされていく過程が快感です。 エンジニアの視点からすると、複雑に絡み合った情報を整理し、矛盾を指摘して真実へたどり着く――その思考プロセスが好きです。プログラミングのデバッグに通じる感覚があります。 キャラクターも秀逸で、古本屋にして陰陽師の京極堂、その友人たちの会話が自然で、読んでいて飽きません。文庫版ということで手軽に読めるのも魅力。このシリーズ、続きも読みたくなりました。ちょっとした時間に、ちょうど良い知的興奮がある一冊です。