音声配信プラットフォームから世界的なアーティストへと成り上がったAdo。その劇的な人生の軌跡を、ベストセラー作家・小松成美が3年の取材を経てノンフィクション小説として描いた作品です。 正直なところ、デビュー前にクローゼットで歌っていたという逸話は知っていましたが、本書を読むことで、その背景にある深い苦しみや葛藤、そして救いとしての「歌」の存在がこんなにも強烈だったのかと気づかされました。不登校時代の心境描写が特に印象的で、親としてもハッとさせられる部分が多々あります。 何より素晴らしいのは、単なる成功譚ではなく、少女Adoの内面にある「もう一人の私」にフォーカスしているところ。タイトルの「ビバリウム」という表現がこんなに深い意味を持つなんて。 家事の合間にゆったり読める流れの良さも気に入りました。エッセイと小説の良さが融合した、大人が楽しめるノンフィクション小説の傑作だと思います。