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読むためのレッスン

読むためのレッスン

菅原 克也 岩波書店 2026年2月25日

新書のコンパクトさが活躍する、なかなかいい本でした。小説がどうして私たちを魅了するのか、その仕組みを丁寧に教えてくれます。 中島敦や安倍公房といった名だたる作家たちの作品を例に、「寓意」「語り手」「視点」といった要素から小説の構造を解き明かしていくんですが、これが目からウロコ。ふだん何気なく読んでいた表現技法が、実はこんな意図で使われていたのかと、読み直したくなります。 主婦業の合間に気軽に読めるのも新書ならではですね。難しすぎず、かといって浅くもない、ちょうどいいバランスが保たれている。あの時あの小説でなぜそんな描写が?という疑問に答えが見つかる喜びも味わえます。 正直な所、篇によって興味の度合いは異なりますが、全体的には「小説をもっと創造的に読みたい」という欲求を刺激されました。文学好きはもちろん、最近小説から遠ざかっていた人にもお勧めできます。読書の楽しみ方が少し変わるかもしれません。