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アラビアン・ナイト(17)

アラビアン・ナイト(17)

池田修(アラブ文学) 平凡社 1991年3月1日

平凡社のアラビアン・ナイト17巻を手に取りました。これまで続いてきたシリーズということもあり、期待を込めて読み始めたのですが、正直なところ少し残念な結果となってしまいました。 ヌール・アッディーンとマルヤムの恋の行方は興味深いテーマなのですが、物語の筋道が複雑に絡み合いすぎていて、高齢の身には追いかけるのが難しく感じました。また、幾つもの短編が挿まれる構成自体は伝統的な面白さがあるはずなのに、本巻では話が唐突に切れたり、登場人物の動機がはっきりしなかったりする箇所が目立ちました。 翻訳の品質にもやや疑問があります。句読点の打ち方が不自然な個所があり、読みにくさを感じることが何度もありました。 古典の傑作ではあろうと思いますが、この巻に限っては編集や翻訳の工夫がもう一工夫欲しかったところです。シリーズ全体の評価は別として、本巻単体ではお勧めしづらいというのが率直な感想です。