シニアの本棚の本棚
ありか

ありか

瀬尾まいこ 水鈴社 2025年4月18日

瀬尾まいこさんの『ありか』を読み終わりました。正直なところ、最初は慎重に進めていたんですが、一気に引き込まれてしまいました。 シングルマザーの美空と、彼女を支える義弟・颯斗との関係を通じて、親子の絆、兄弟の絆、そして「家族とは何か」という根本的な問いが優しく、そして深く描かれています。 特に印象的だったのは、子育ての苦労と喜びが率直に綴られているところです。親になることで親の恩がわかるはずだったのに、逆にわからなくなってしまう—その戸惑いと葛藤が、とても誠実に表現されていました。私自身、子育ての時代を経験した身として、その複雑な感情がストンと胸に落ちてきました。 キャラクター一人ひとりが生き生きとしており、どの視点で物語が進むのかも楽しみながら読めます。何度も立ち止まって、考えさせられる場面も多くありました。 著者が「これまでの人生を全部込めた」とおっしゃるのも納得できます。人生を重ねた読者だからこそ味わえる、深い感動がここにはあります。ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です。