久しぶりに一気読みしてしまった。フリーランスという身軽な生活を送っているせいか、物語の世界に没入することの心地よさを改めて感じさせてくれた作品だ。 バルサという女用心棒のキャラクター造形が秀逸。単なる強い女性像ではなく、複雑な過去を背負いながらも、皇子チャグムを守るという使命に真摯に向き合う姿勢が説得力を持つ。読み始めたら、彼女の運命が気になってページをめくる手が止まらなくなった。 著者が文化人類学者というバックグラウンドが活きた世界観も評価したい。建国神話や先住民の伝承といった要素が、単なる装飾ではなく物語全体を支える骨組みになっている。この緻密な構築があるからこそ、冒険譚としての面白さが一層引き立つ。 ファンタジー小説としての娯楽性と、きちんとした文学的な質を両立させている。文庫化という手頃さもあり、このシリーズを続けて読む価値は大いにあると確信した。次巻が気になる。