デュルケムの講義録とは知らず、手に取ったのですが、これは当たりでした。他の著作では触れられていない、道徳・国家・法といった根本的なテーマが系統立てて論じられている点が何よりの収穫です。 フリーランスとして独立して十数年、社会構造というものを改めて考える機会は意外と少ないものです。この講義を読み進むことで、私たちが当たり前だと思っている秩序や規範がいかに形成されるのか、その原理に向き合わされました。 ただし、古典的な社会学理論であることは念頭に置く必要があります。初版は100年以上前の講義ですから、現代社会への直接的な応用には工夫が必要です。むしろ思考の基礎を固めるための書として、腰を据えて読むべき一冊。重要な概念ながら、わかりやすい解説を求める人には若干の敷居があるかもしれません。 それでも、社会的な事象を深く理解したい向学心のある大人にとって、この本は十分な価値があります。慎重派の私が推奨できる、信頼できた著作です。