感想
鷲津政彦が帰ってきたか。ハゲタカシリーズは以前から好きで、新作が出るたびに楽しみにしている。今回のテーマは「台湾有事」と「半導体覇権」。正直、最初は時事ネタ満載で難しいのではないかと心配していたが、読み始めると一気に引き込まれた。 真山仁の筆致は相変わらず鮮烈で、複雑な国際紛争と経済戦争を、主人公の行動を通して実に分かりやすく描いている。米国と中国が台湾の半導体企業をめぐって動く中、日本の復活の夢も絡み合う。管理職としては、こうした大国の思惑の中で個人がどう動くか、という部分に非常に興味を惹かれた。 上巻ということで、まだ序盤の印象だが、各章のタイトルが示す通り、状況は刻々と変わっていく。プロットの組み立てが見事で、続きが気になってしかたがない。息抜きに読むには少し重めだが、思考力を刺激される良い一冊。下巻への期待も高まっている。