高校時代の蝶ヶ岳登山から始まる、やまとけいこさんの山と旅の物語。文庫版で読みやすくなったこの本を、パート帰りのほっと一息つく時間に楽しみました。 黒部源流の薬師沢小屋支配人として活躍されている著者の経験が、これほどまでに素敵に綴られているなんて。高い山頂での喜びだけでなく、疲れや悔しさ、切ない思い出なども織り交ぜられていて、とても心に響きます。私たちの世代も人生の中で似たような迷いや喜びを経験してきたから、よけいに共感できるのかもしれません。 何より嬉しいのは、所々に挿しこまれたイラストの優しさ。文字だけでなく目でも楽しめるので、疲れた時にも無理なく読み進められました。やまとさんの前向きで素直な生き方から、この年になっても学ぶことがたくさんあるんだなと感じさせられます。新章「終わりなき旅」も追加されているということで、さらに充実した内容になっています。 気軽に手に取れる文庫版だからこそ、もっとたくさんの方に読んでほしい一冊です。