医療の現場で人間関係に疲れることも多い私にとって、このファンタジーは本当に心地よい逃げ場でした。 王国、運命の番、聖女…こうした要素だけ聞くと、ありふれた展開かもしれません。でも読み始めると、その予想を良い意味で裏切られます。婚約解消という辛い状況にありながら、リーガンがどう向き合っていくのか。その過程で彼が何を気づいていくのか。物語が丁寧に描かれていて、引き込まれました。 特に良かったのは、登場人物たちが「正しい選択」だけで動いていないところです。感情と責任のあいだで揺らぐ様子が、とても人間らしく感じられました。医療の現場でも同じことを感じることがあります—正解だけでは解決しない問題って、たくさんありますから。 終盤の展開は「あ、そういくか」と思わず笑ってしまいました。ネタバレは避けますが、物語のたたみ方が上手です。疲れた心をやさしく満たしてくれる、そんな一冊でした。週末の夜、寝る前に読むのに最適な本だと思います。