ひなたの本棚
スロウハイツの神様(下)

スロウハイツの神様(下)

辻村 深月 講談社 2010年1月1日

上巻から続く物語、下巻はいよいよ核心へ迫る展開で一気読みしてしまいました。 新たな居住者・莉々亜の登場によって、スロウハイツという共同住宅に新しい空気が流れ込む様子が上手に描かれていて、人間関係の微妙な変化を感じながら読めるのが魅力。でも個人的には、あの128通の手紙の正体が明かされる部分が一番心に響きました。物語全体を貫く大事な伏線が、こんなところに隠れていたのかと思うと、上巻を読み直したくなるほど。 環が受け取った荷物をきっかけに、キャラクターたちの時間が大きく動き始める後半は本当に素敵です。仕事が忙しくて疲れている時だからこそ、こういう温かくて、でもどこか切なくて、人とのつながりを感じさせてくれる物語って必要だなって改めて思いました。 登場人物たちへの感情移入度がぐっと高まる下巻。シリーズ完結作としても、一つの物語の終わり方としても秀逸だと思います。