感想
仕事でコードを書いて、帰宅して家でくつろぐ。そういう単純な生活の中での充実感を感じることが増えた年代だからこそ、この作品集が刺さりました。 井田千秋のマンガは、派手さはないけれど、確かな観察眼で日常の小さな幸福をすくい取っている。空想に浸ること、本を読むこと、食べること、眠ること――エンジニアの仕事は論理と効率を求めるから、こうした何の生産性もない時間の大切さを改めて認識させてくれます。 同人作品から商業作品まで、井田千秋の「家」への向き合い方がぶれていない。それが信頼感につながる。エッセイも含まれているので、マンガだけでなく作者の思考を直接読める点も良い。 ただし、淡々とした日常描写が好みでない人には物足りなく感じるかもしれません。僕も最初は「これだけ?」と思いましたが、読み込むほどに心地よさが増してくる。じっくり味わうタイプの作品です。 疲れた時に開きたい一冊。家時間が好きな人なら、確実に気に入ると思います。