エンジニアとして論理的な思考に偏りがちな自分ですが、この作品にはすっかり引き込まれました。過去に戻れるという設定は奇想天外ですが、それを通じて描かれる人間関係の機微がこれ以上なく丁寧です。 四人の女性それぞれが異なる「後悔」を抱えて喫茶店を訪れる構成は、一見単純に見えて実はよく設計されている。その点はエンジニア的に評価できます。しかし真の面白さは、後悔との向き合い方を通じて浮かび上がる、家族や愛についての深い洞察にあります。 特に心打たれたのは、過去を変えることの本当の意味について問い直すくだり。完璧な解決を求めがちな自分にとって、「変えられない部分こそが大切」というメッセージは予想外でした。重厚になりすぎず、温かみのある語り口なので、気軽に読み始めても最後には何かを深く考えさせられます。 技術書以外の読書を避けてきた自分ですが、こういった良質な人間ドラマもたまには必要だと実感。ベストセラーになった理由がよくわかる一冊です。