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黄色い家

黄色い家

川上未映子 中央公論新社 2023年2月20日

感想

話題の新作ということで、興味を持って手に取ってみました。これまでこの作家の作品は未読だったのですが、今回初めて長編に挑んだというこの作品、本当に傑作です。 十七歳の少女たちが貧困と生存戦略のはざまで選択する犯罪。その選択肢に至るまでの心理描写が圧倒的に秀逸で、教育現場にいる身として、つい教育的視点で読んでしまいました。しかし社会的な問題指摘に留まらず、純粋なサスペンスとしても最高峰の面白さです。 各章ごとに焦点が移る登場人物たちの声が鮮烈で、ページをめくる手が止まりません。彼女たちが「黄色い家」で何を求め、何を失ったのか。その問いの深さが、読み終わった後も心に残ります。 近年のクライム・サスペンスの中でも傑出した出来栄えだと思います。同僚の教員にも勧めたい一冊。世界で注目される理由が確かに理解できました。