久しぶりに一気読みしてしまった。『告白』は本当に面白い。 娘を亡くした中学教師の告白から始まるこの物語、語り手が次々と変わっていく構成が見事だ。最初は母親の視点で事件の概要を知らされ、その後は同級生たち、犯人本人、さらには犯人の親へと視点が移っていく。同じ出来事でも、立場によってこんなに見え方が違うのか、と思わずにはいられない。 自営業で日々人間関係のもつれを見てきた身としては、この作品が描く登場人物たちの複雑な心理状態が非常にリアルに感じられた。誰もが被害者であり加害者でもあるような、そういった人間関係の泥沼をこれほど巧みに描いた作品は珍しい。 確かにラストは衝撃的だし、賛否あるのもわかる。でも人間の本質的な怖さ、複雑さを考えさせてくれる点で、この本の価値は充分にある。軽い気持ちで読み始める人も多いと思うが、思いの外、心に残る一冊だと思う。