筆耕屋だんまり堂の第二弾。今回も良い作品でしたね。 前作から引き続き、文字に触れると心が見える筆耕師・数馬を中心に据えた人情譚。依頼人の想いを言葉に託して代書する、その過程で生まれるドラマが実に味わい深い。自営業で日々やり取りする人間関係の機微を感じてきた身としては、この「言葉が人を救う」というテーマには特に共感を覚えます。 今巻では恋文という題材が秀逸。若い兄妹の複雑な想いが、筆を通じてどう紡がれ、どう解きほぐされていくのか。その過程で数馬が悩み、逡巡する様子がリアルでしたね。派手さはないけれど、心に沁みる。 短編集のような構成で気軽に読み進められるのも魅力です。忙しい日々の合間に、ちょっと立ち止まって人情を感じたい時分には、こういった作品は本当に重宝します。祥伝社の文庫シリーズながら、しっかりした筆力を感じさせる。次巻も期待したくなる佳作です。