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1Q84 BOOK1

1Q84 BOOK1

村上 春樹 新潮社 2009年5月29日

村上春樹の『1Q84』を読み終わった。正直なところ、ここまで引き込まれた長編小説は久しぶりだ。 フリーランスの仕事をしていると、現実と虚構の境界があいまいになることがある。この本はそういう感覚をまさに物語化している。二つの月が浮かぶ世界、隠された現実──そうした描写の中で、主人公たちと一緒に「本当のこと」を探す旅に付き合わされるんだ。 何より面白いのは、ミステリーのような緊張感を保ちながらも、決して謎解き小説に堕さないところ。むしろ、著者は「答え」よりも「問い」を大事にしている。読んでいて、現在の自分の人生について考えずにはいられなくなる。 分厚い本だし、読みながら「本当にこの先どうなるんだろう」と何度も思ったけど、その不安感さえも物語の一部として組み込まれているのが見事だ。気軽に読む本ではないかもしれないが、腰を据えて読む価値は十分にある。人生のどこかで再読したくなる、そんな傑作だ。