心臓外科医という設定と、隠された目的という軸で引き込まれると期待していたのですが、読み進めるにつれなんだか心がつかまれない感覚がありました。 登場人物たちの動機や葛藤がもう一つ腑に落ちず、特に主人公の夕紀がなぜそこまで執着するのか、その深さが伝わってきませんでした。医療現場の緊迫感は確かに描かれていますが、サスペンスとしての驚きや、人間ドラマとしての感情の揺らぎが足りない気がしたんです。 ただ、ページをめくるのが苦痛というわけではなく、しっかり最後まで読むことはできました。伏線らしきものも張られていますし、物語としての体裁は整っています。子育てで時間が限られている私にとっては、気軽に読める娯楽小説という位置づけでしたら良かったと思います。 もう少し登場人物の心理描写が丁寧だったら、あるいはラストの衝撃がもっと大きかったら、印象は変わっていたかもしれません。無難な一冊といった感じです。