最近、話題の本ということで手に取ってみた。発売前から14ヵ国が版権取得したという触れ込みに、期待値も高かったが、それを見事に裏切らなかった一冊だ。 1910年のハレー彗星が降る夜という舞台設定がまず秀逸。貴族の館での密室殺人という、いかにも古典ミステリーらしい枠組みながら、79歳の毒舌老令嬢と少年院帰りの召使いという予想外のコンビが探偵役というのが新鮮だ。この二人の掛け合いだけで既に面白い。 登場人物たちの設定も実に凝られている。容疑者たちがみな濃密な背景を持ちながら、どうにも怪しい奴ばかり。叙述トリックやどんでん返しが次々と仕掛けられており、読み進めるたびに予想が裏切られる快感がある。 会社員として仕事の息抜きに読むには最高のエンターテインメント。長編シリーズの第一巻とのことだが、続きが気になってしょうがない。ミステリー好きなら、特に話題作を追いかけるタイプなら必読の傑作だと言えよう。