れんの本棚
完全自殺マニュアル

完全自殺マニュアル

鶴見済 太田出版 1993年7月7日

話題性という点で、この本は確実にチェックすべき一冊だ。出版当初から賛否両論を呼んだ作品だが、実際に手に取ってみると、その社会的インパクトの大きさが理解できる。 内容としては、人生の終わり方について極めて実証的かつ冷徹に書かれている。倫理的な議論はさておき、ドキュメンタリー的な価値は相当高い。著者の徹底的なリサーチと、事実を事実として淡々と述べるスタイルには、妙な説得力がある。 41歳という人生の折り返し地点に差し掛かった自分にとって、この本は単なる禁忌の書ではなく、人間にとって究極の選択肢とは何かを考えさせられる哲学的なテキストに映った。完全に肯定することはできないし、推奨できる本でもない。だが、現代社会における「死」というテーマに真摯に向き合った作品として、その存在意義は認めざるを得ない。 社会現象としての本の読み方という意味では、非常に興味深い体験ができた。時代を映す鏡として、この本の位置づけを理解しておくことは、教養人として必要なことだと感じている。