一郎の本棚
蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

恩田 陸 幻冬舎 2016年9月23日

新入社員として働き始めた今、この作品に出会えたことは本当に良かったです。ピアノコンクールという明確な目標に向かって進む四人の登場人物たちの姿を追いながら、自分自身の人生と重ね合わせてしまいました。 特に印象的だったのは、才能と努力、そして運命というテーマの扱い方です。著者は決して綺麗事で終わらせず、音楽という純粋な世界だからこそ見えてくる、人間らしさと葛藤をリアルに描いています。社会に出たばかりで、自分の適性について悩むことが増えた私にとって、彼らの葛藤は他人事ではありませんでした。 文体も美しく、ピアノの音色や演奏シーンの描写は、音楽を聴いているような感覚に陥らせてくれます。音楽知識がなくても十分に楽しめるのは、著者の力量を感じさせます。 ベストセラーと聞いて読むまでは少し躊躇していたのですが、その評判は伝説ではなく事実だと確信しました。新しい環境で悩みながら進む同年代の方にも、強くお勧めしたい一冊です。