みくの本棚
若き日の詩人たちの肖像(上)

若き日の詩人たちの肖像(上)

堀田 善衞 集英社 1977年10月1日

昭和初頭の不安定な時代を背景に、北陸から上京した少年の内面世界を描いた作品です。2・26事件という歴史的背景が重くのしかかる中で、若き詩人たちの葛藤や成長が丹念に綴られており、読んでいて時代の息吹をひしひしと感じました。 文庫本とは思えないほど深い内容で、ページをめくるたびに引き込まれていきます。最近は軽めのエッセイばかり手にしていましたが、このような骨太の長編に出会えて本当に良かった。著者の自伝的要素が織り交ぜられているからか、登場人物たちが非常に生き生きとしており、まるで自分も昭和初期にいるかのような没入感があります。 年を重ねた今だからこそ、若き日の情熱や迷い、そして詩情の大切さが心に響くのだと思います。人生経験がある程度積まれた年代だからこそ味わえる深さがこの作品にはあります。上下巻ですが、一気に読み進めたくなる魅力的な作品です。話題の本として見かけていましたが、その評判に違わぬ良書だと確信しました。