感想
下巻に入って、いよいよこの物語の真相が明かされていく。正直なところ、シャーロック・ホームズとクトゥルー神話の組み合わせなんて、最初は奇抜すぎるんじゃないかと思っていた。だが読み進めるうちに、その融合がこれ以上なくぴったりとはまっていることに気づかされた。 ハイゲイト墓地から始まる謎が、次々と異なる事件と繋がっていく構成の見事さ。教科書を教えるときと同じで、各要素がきちんと整理されて積み上がっていくのを見ると気持ちがいい。ホームズの推理の鮮烈さと、得体の知れない恐怖とが同時に味わえるというのは、なかなか得難い経験だ。 特に好きなのは、このパスティーシュが単なる二次創作に留まらず、オリジナルのホームズ作品のエッセンスを丁寧に継承しながら、新しい世界観を構築しているところ。キャラクターたちが活き活きと動いている。 30年にわたる戦いの決着は、予想外でありながらも納得がいく。気軽に楽しめる本を探していたら、思わぬ傑作に出会えた。文庫本だから持ち運びも楽だし、本当にお勧めだ。