てつの本棚
憤怒の人

憤怒の人

杉山 響子 小学館 2026年1月15日

佐藤愛子という伝説的な作家の娘による回想録。正直に言うと、題名の「憤怒の人」というインパクトと、阿川佐和子さんの絶賛コメントに惹かれて手に取りました。 読み始めてすぐに引き込まれました。母親との複雑な関係性を、ユーモアと愛情で丁寧に綴られている。102歳となった母親との現在と、過去の記憶が交錯する構成が素晴らしい。教育者として、親子関係や家族のあり方について考えさせられることばかり。 特に印象的なのは、著者が母親の気性の激しさに翻弄されながらも、その本質を理解し許容しようとする姿勢です。完璧な親なんていない、むしろ欠点を含めて愛することの大切さが自然と伝わってきます。 エッセイは短編なので、休み時間に読み進められるのも良い。笑える場面も涙ぐむ場面もあり、バランスが取れている。人間関係に悩む中年の僕にとって、良い処方箋になりました。ただ、やや佐藤愛子という人物への前提知識があると、より深く楽しめるのかなという気はします。