感想
薬学博士による本書は、「毒と薬に本質的な違いはない」という視点から、私たちの食生活を根底から問い直す良質な新書です。 管理職として日々リスク管理に携わる身として、この作品の論理的な構成が大変興味深く感じられました。塩分摂取による死亡事故やビタミン過剰摂取の害など、具体例を交えて「用量と結果」による定義付けの重要性が丁寧に説かれています。歴史的背景も含めて説明されるため、単なる食の安全情報ではなく、日本における薬と食の関係をより深く理解できます。 特に興味深かったのは、過去の事例や経験談を通じて、科学的知見だけでなく人間の判断や環境がいかに「毒か薬か」を左右するかという点です。これは日常の意思決定にも応用できる視点だと感じました。 短編ながら内容の密度が高く、新書の良さを十分に引き出した一冊です。食の安全に関心のある方はもちろん、科学的思考を学びたい方にも推薦できます。