文子の本棚
暗黒の瞬間

暗黒の瞬間

エリーザ・ホーフェン / 浅井 晶子 東京創元社 2026年2月12日

ベルリンの弁護士エーファが扱った九つの事件を描いた短編集です。ミステリとしてしっかり構成されていながら、それぞれの物語に深い人間ドラマが隠れているんですね。 最初は「謎解きかな」と思って読み始めたのですが、事件が解決した後からが本当の話だという、この作品独特の視点に引き込まれてしまいました。どの短編も予想外の転開があって、ページをめくる手が止まりません。 66歳になると、人間関係の複雑さとか、事件の背後にある心理描写がすごく胸に響くんです。犯人や被害者、そして弁護士自身の葛藤まで、すべてがリアルで説得力がある。気軽に読める短編集かと思ったら、読み終わった後も色々と考えさせられました。 新人作家とのことですが、本当に完成度の高い一冊です。ミステリが好きな方はもちろん、人間関係の機微を味わいたい方にもおすすめできます。