和子の本棚
鉄道員(ぽっぽや)

鉄道員(ぽっぽや)

浅田 次郎 集英社 2000年3月1日

感想

駅に立ち続ける男の姿を通じて、人生の本質を問い直させられる作品です。直木賞受賞作ということで手に取ってみましたが、期待以上の深さと温かさに満たされました。 娘を失い、妻を失いながらも、職務を全うする主人公の姿勢には、現代人が忘れかけている何かが詰まっているように感じます。派手な展開や劇的なドラマではなく、日常の中に潜む"やさしい奇蹟"を丁寧に描いている点が素晴らしい。表題作だけでなく、「ラブ・レター」をはじめとした短編たちも、それぞれが心にしみ入る物語ばかりです。 仕事一筋で生きてきた私にとって、この本は自分の人生と向き合うきっかけをくれました。つらい局面でも前に進む力とは何か、無意識のうちに教えてくれているようです。短編集なので、気分に合わせて読み進められるのも忙しい毎日の中での読書には実用的。中年女性だからこそ響く、本当に良い一冊に出会えた気がします。