話題のミステリーということで、さっそく文庫版を手に取ってみました。閉ざされた島、謎めいた十の戒律、そして犯人探しを禁じられるという奇想天外な設定は、確かに興味をそそられます。 ただ、読み進めていくと、少し物足りなさを感じてしまいました。登場人物の描き分けが難しく、9人の関係者たちの個性があまり印象に残らないんです。中盤までは緊張感があるのですが、後半に向かうにつれて、やや単調に感じられてしまいました。 それでも、このような大胆な設定を思いついた著者の創意工夫には敬意を払います。また、会社員という自分の立場から考えると、島での利害関係が絡む人間模様は、どこか職場環境に通じるものがあり、そこは興味深かったですね。 累計40万部とのことですから、多くの読者に支持されているのでしょう。ただ個人的には、もう少し登場人物の掘り下げやトリックの精緻さがあれば、もっと満足できたかもしれません。ミステリー好きな方なら、一度は読んでみる価値はあると思います。