感想
最近話題になっているこの作品、手に取ってみて正解だった。『あおいよるのゆめ』は、静寂に満ちた世界観と、そこに浮かぶ人間の営みを丁寧に描いた秀作だ。 読み始めると、まるで自分も登場人物たちの青い夜の中に引き込まれていくような感覚に陥る。小説とエッセイの境界線上を行き来するようなテクスチャーが心地よく、夜中に一気読みしてしまった。著者の視点の細やかさには、思わず唸ってしまう箇所も多い。 58年生きてきた中で、こういう「人間らしさ」や「心の奥底」に正直に向き合う作品に出会うことは貴重だ。仕事で疲れた頭をリセットさせてくれる、しかも知的な充足感も与えてくれる―そういう本は滅多にない。ワールドライブラリーからの出版というのも納得できる。 時間を忘れて読ませる力、そして読み終わった後に長く余韻が残る。これこそが本当の良書だと改めて感じさせてくれた一冊である。