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映画「教場 Requiem」ノベライズ

映画「教場 Requiem」ノベライズ

涌井 学 / 長岡 弘樹 / 君塚 良一 小学館 2026年2月20日

木村拓哉主演の映画「教場 Requiem」のノベライズ版を読了した。警察学校を舞台にした話題作だけに、映画公開前にどうしても原作を読んでおきたくなったという次第だ。 本作は前作からの続編という位置づけだが、単体でも十分に楽しめる構成になっている。鬼教官・風間公親と彼の門下生たちが、逃亡犯を追い詰めるという緊迫したストーリーを中心に、各登場人物の人物描写が丁寧に描かれている。映画の尺では表現しきれないであろう心理描写やバックグラウンドが、ノベライズならではの深みを与えていて興味深い。 特に印象的だったのは、単なるアクション・サスペンスにとどまらず、教育者としての風間の葛藤や、生徒たちの成長が織り交ぜられている点だ。警察学校という設定の中で、人間関係の複雑さや信頼の意味が問い直される。58年も生きていると、こうした大人の葛藤や覚悟といった部分に自分自身を重ねてしまう。 映画を観る前後に読む価値のある作品だと思う。エンタメとしての完成度と、物語の深さのバランスが取れている。