「コンビニ兄弟」シリーズも第五巻を迎えたか。このシリーズの魅力は、何といってもコンビニという日常的な舞台を舞い台にしながら、そこで働く人間たちの人生模様を丁寧に描いていく点にある。 今作では、冬という季節設定も効いていて、店長・志波三彦の意外な過去が明かされるくだりは引き込まれた。日々顔を合わせているはずの人物に、実はこんな背景があったのかと、改めて周囲の人間への想像力の必要性を感じさせられる。 高木恋斗のエピソードも興味深い。推し活に生きるバイト店員という現代的なテーマと、彼女との別れが迫る中での葛藤。こうした若い世代のリアルな心情が自然に表現されている。 シリーズを通じて感じるのは、著者の人物描写の確かさだ。決して大ぶりなドラマを仕掛けるのではなく、静かだが深い思考と感情を積み重ねていく。会社での人間関係に疲れた時期だったこともあり、この作品の優しい世界観に久しぶりに心が休まった。続きが気になるシリーズです。