経済学の常識を覆すという触れ込みに期待して手にしましたが、正直なところ、内容は予想の範囲内に収まってしまった印象です。 著者の経歴は確かに説得力があり、GDP上位7カ国の債務分析というアプローチも興味深い。特に「民間の借金こそが危機の予兆」という指摘は、マクロ経済を理解する上で有用な視点だと感じました。 ただし、全体を通じて感じるのは、既存の経済論説の焼き直しという感覚です。負債が経済成長を支えているという基本的な考え方は、さほど目新しくはありません。また、複雑な経済メカニズムを説明するにはやや単純化され過ぎているように思える部分も多く、ビジネスマンとしての私には、もう少し掘り下げた分析が欲しかったところです。 日本のバブル崩壊事例の引用は参考になりますが、それが今後の危機予防にどう繋がるのか、具体的なアクションプランまで踏み込んだ記述があれば、実務的な価値がもっと高まったはずです。 良い本ではありますが、特別な示唆に乏しく、慎重に選ぶ身としては「読まなくても」という判断に至ります。