莉子_booksの本棚
感想

週刊文春の話題作だということで、いつか読もうと思いながら積ん読になっていた一冊。今回文庫化されたこのタイミングで、ようやく手にとることができました。 密室ミステリーというのは一定数存在しますが、この作品のユニークさは、犯人を特定してはならないという禁止事項そのものが物語の核になっている点です。離島という地理的な隔絶に加えて、論理的な制約までもが登場人物たちを追い詰めていく緊迫感は秀逸。 浪人中の少女・里英の視点から事件の推移が描かれるため、読者も彼女と一緒に絶望感や焦燥感を味わうことになります。公務員として日常的に法令や規則に向き合う身としては、この「十戒」という絶対的なルールが容赦なく機能する世界観が、妙にリアルに感じられて、余計に背筋が凍る思いでした。 綿密に構成されたプロットながら、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、読み進めるのが止まりません。話題になったのも納得の傑作です。